HOME > 看護生涯学習支援 > 看護の国際的な情報 > タイにおける看護および看護教育の現状
齋藤和子、堀内寛子、松下光子
タイはアジア地域の中で看護の大学教育が進んでいる国であり他国から学生の受け入れも行っている。2003年3月にタイの首都であるバンコク中心部にあるチュラロンコン大学看護学部、バンコク郊外にあるタマサート大学看護学部、タイ北部の中心都市であるチェンマイにあるチェンマイ大学看護学部3校を訪問した。
まず、タイにおける看護の位置づけであるが、タイでは、看護に対する王室の貢献があって看護が発展してきている。現国王の母親は看護婦であり、国王の父親は医学を学んでいた。現国王の王女にも看護婦の王女がおり、看護協会のメンバーに入っている。タイで最初の看護学校は、国王が作っている。その後学校が増えていったがそれは病院付属の学校であった。1981年から看護婦の養成課程はすべて4年間のBSN(看護学士)教育とした。現在56の看護の4年制教育課程がある。
タイにおける看護に関する組織として、看護協会(Nursing Association)と看護カウンシル(Nursing Council)の2つがある。両者は別組織であるが、常に協力し合っている。看護協会への入会は任意であるが、看護カウンシルは看護婦は免許を取ったら全員が所属する。看護カウンシルは1985年に法的に位置づけられてできた組織であり、看護職の資格認定試験、大学教育省から委託を受けた大学の教育評価、大学設置時のカリキュラムの適切性の判断、行政への提言などを担っている。
タイの看護婦資格は、1.テクニカルナース(2年の教育を受けた者。現在は育成されていない)、2.プロフェッショナルナース(4年間のBSNの教育を受けた者)、3.アドバンストプラクティスナース(APN。修士の教育を受けた者。専門分化している)の3種類である。資格の認定はいずれも看護カウンシルが試験を行う。1997年以降、看護婦の資格は5年ごとに更新が必要となった。
1)チュラロンコン大学看護学部
チュラロンコン大学は、1917年に国王によってたてられたタイで最初の大学である。学生の入試成績も教員のレベルも国内でトップレベルの総合大学である。
看護学教育は1967年に、アメリカで最初に大学で看護教育を始めたコロンビア大学のティーチャーズカレッジに習って教育学部の一部として始まった。看護教育を大学教育とするために教員育成を目指してつくられた課程である。1973年にはタイ国内で最初の看護の大学院教育を始めた。1988年に看護学部として独立した。看護界のリーダーと教育者を育てるのが目的である。看護学部は、学部として独立したときから大学院大学であり、修士課程と博士課程のみである。教員29名のうち22名は博士の学位を持ち、残りの7名は、現在博士の学位取得のため勉強をしている。2003年3月時点の学生数は、修士課程293名、博士課程14名である。
教員との相互交流を持つため、1クラスは20名以下として教育を行っている。オンラインを使う遠距離教育を去年から開始している。

写真1:Dr.Jintana Yunibhand学部長と
2)タマサート大学看護学部
タマサート大学は、1934年に設立されたタイで2番目に古い大学で総合大学である。看護学部は、1996年にできたばかりで、開設7年目である。修士課程は来年、博士も数年後に開設される予定。学部の哲学の1つは、ヘルスプロモーションであり、また、タイの文化に基づいた知識の開発も大事にしている。教育方法として、7つの科目にPBL(problem based learning)を導入している。学生数は、学部は1学年60名程度である。

写真2:Dr. Siriporn Khampalikit学部長、先生方と
3)チェンマイ大学看護学部
チェンマイ大学は、タイ国内で最初にできた地方大学で、1972年から看護学部での教育を開始している。
看護学部の学生数は、学部、大学院含めて約1400人。学士課程は、毎年225名の学生が入ってくる。4年間の学士課程入学生が110名、インターナショナルプログラムの入学生が40名、2年間のテクニカルナースからの進学課程への入学生が75名である。修士課程は、2002年は300名近い学生が入学した。博士課程は、毎年15から16名の学生が入学している。インターナショナルプログラムには、中国などから学生が来ている。

写真3:Dr.Wipada Kunaviktikul学部長、副学部長と
備考
詳細については、平成15年度岐阜県立看護大学紀要に報告予定です。
ご質問等ございましたら、松下までお問い合わせください。
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